静穏保持法適用と警察のデモ規制への抗議声明

「いらない!APEC神奈川の会」と「いらない!APEC横浜民衆フォーラム実行委員会」は2010年11月23日、11月13日の「APECいらない!デモ」への静穏保持法適用と警察のデモ規制に対する抗議声明を発表した。全文は次の通り。


【抗議声明】
11月13日の「APECいらない!」デモに対する「静穏保持法」の適用と警察のデモ規制に抗議します

 2010年11月23日

 いらない!APEC 神奈川の会
 いらない!APEC横浜民衆フォーラム実行委員会

11月13日に行われた、「"いらない!APEC"横浜民衆フォーラム」主催のデモ行進において、前原外相の命令で私たちのデモコースの一部を含めて「静穏保持法」(国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律)を適用したことと、そしてそれに伴う警察のデモ規制の過剰警備に抗議します。

そもそも、「静穏保持法」には、各都道府県で定められているような「騒音」に関する一定の基準(概ね85デシベル)など定められておらず、ただ「当該地域の静穏を害するような方法で拡声機を使用してはならない」とされているだけです。すなわち、現場の警察官の恣意的な判断で規制したり、状況によっては逮捕できるというとんでもない悪法だと言わざるを得ません。

デモ申請時も当日も、現場の警察官は私たちの「そんな法律を適用するならば、音量などの基準を示してほしい」という再三の要請に対して、まったく答えることはありませんでした。デモ行進中に「スピーカーを下せ」と言った警察官に「基準があるのか」と尋ねた仲間に帰ってきた言葉はただ一言「ウルセーコノヤロー」でした。

また、デモ中に音量を測る警察官は、よく右翼の街宣車に対して行っている椅子に座って地面に置いた機械で測るのではなく、長い棒の先につけたマイクをデモの列の真ん中にあるスピーカーの口にくっつけて測るというものでした。

そして、この「静穏保持法」に付記されている、

(適用上の注意等)第8条 この法律の適用に当たつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

2 この法律の規定は、法令の規定に従つて行われる請願のための集団行進について何らの影響を及ぼすものではない。

という条文は、13日当日の警察警備にかかっては、まったく意味をなしていませんでした。

「外国公館等周辺地域」の「静穏」を「保持」するというならば、何よりAPEC会場で音量が測られるべきであり、ましてや基準も示さないままにマイクをスピーカーにくっつけて音量を測って「逮捕するぞ」と恫喝する。言わば、法定速度の定められていない道路でスピード違反の取り締まりをやるような暴挙であり、この「静穏保持法」の適用と一連のデモ規制のやり方は法治と民主主義を根本から破壊するものだと指摘せざるを得ません。国が憲法21条が保証している表現の自由を侵すことは、国家権力の濫用に他なりません。


私たちは、言論と表現の自由を破壊する「静穏保持法」の私たちのデモへの適用に抗議し、二度とデモ行進に対してこの法律を適用しないこと、そしてこの言論・表現の自由を破壊する悪法の廃止を求めるものです。

最後に、私たちのデモは、スピーカーを奪われたAPEC会場パシフィコに最も近い地点でこそ最も盛り上がり、最前列から最後尾まで絶え間ない「APECいらない!」の声が鳴り響き、この付近の「静穏」を民衆の声で打ち破ったことを付記しておきます。

権力をふりかざして、警察の暴力を駆使しても、闘う民衆の声を止めることなど誰にもできないということを私たちのデモは証明しました。